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介護のプロがお答え 介護のお悩み解決コラム

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第16回 若年性認知症について考える①

これまでは介護保険やケアマネージャーなど、介護にまつわる制度的なお話を
してきましたが、今回はひとつの病気を取り上げたいと思います。その病気と
は、認知症。中でも、65歳未満と若くして発症した「若年性認知症」について
考えていきます。私たちは、若年性認知症患者様のケアにも積極的に取り組ん
でいますが、それはなぜでしょう。その経緯からお話していこうかと思います。

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全国で4万人が若年性認知症に

そもそも認知症とは、何らかの病気によって脳の神経細胞が壊されてしまうために起こる病気のこと。それによって物忘れがひどいなどの状態になり、病気が進行すると理解力や判断力がなくなり、社会生活や日常生活に支障をきたしてしまいます。
もともとは高齢者に多い病気でしたが、最近では65歳未満の若い世代にも罹患する人が増えはじめ、2009年(ちょっと古くてゴメンナサイ!)の厚生労働省の調査によると、全国の若年性認知症の患者数は3万7800人。人口10万人あたりでは47.6人が発症している計算になります。平均発症年齢は51.3歳で、50歳以下で発症した人は3割もいるそうです。
脳梗塞や高血圧など生活習慣病が原因となって発症するケースが多いことを考えると、厚労省の調査から10年近くが経った今、この数はおそらくもっと増えているのではないかと予測されます。

「もっとできたはず…」という後悔が出発点

さて、若年性認知症がどのような病気か分かったところで、今回の本題に入りましょう。なぜ、私たちフロンティアの介護は若年性認知症患者様のケアに積極的に取り組んでいるのかというと、それは後悔の念があるからです。今から10年ほど前のことでしょうか、40代という若さで認知症を発症した患者様がいらっしゃいました。フロンティアの介護のとある施設でお世話をさせていただくことになりましたが、私たちにとっても初めてのケース。もちろん若年性認知症の患者様と接した経験もなければ、どのようなケアを行っていけばよいかという知識もあまり持ち合わせていなかったのです。
認知症は進行性の病気のため、ほとんど完治するということはありません。その患者様もどんどん病気が進行し、最後は寝たきりの状態になってしまいました。
「私たちが若年性認知症についての知識をしっかり持ち合わせていれば…」
「もっとほかによりよい対処の仕方があったのではないか…」
もちろん私たちスタッフは、その時にできる最善の手を尽くしましたが、「もっとほかにできることがあったはず」という、何か言葉では言い表せない徒労感のようなものに襲われたのです。

さまざまな研修を通じて病気への理解を深める

もう二度とこんな思いをしないため、そして何より病気に苦しんでいる患者様ご本人やそのご家族様が悲しい思いをしなくてもいいように、私たちは若年性認知症のケアに力を入れていこうと決めたのです。
リーダー研修やナース研修など、さまざまな機会を設けてはこの病気に関する勉強を深め、よりよいケアの仕方などを身に付けていったのです。
今では、フロンティアの介護の施設で暮らしている認知症患者様が何人かいらっしゃり、毎日生き生きとした生活を送っています。
失敗したことをいつまでも引きずるのではなく、しっかり反省したうえで、対処法を身に付け、よりパワーアップできるよう努力をするのが、私たちフロンティアの介護の社風です。
そうした努力の末、若年性認知症の患者様を受け入れられる数少ない施設のひとつとなりました。今なら胸を張って若年性認知症で苦しむご本人様とそのご家族様を受け入れることができると思います。
もし、この病気にかかってしまい、お悩みの方がいらっしゃったら、ぜひ一度相談してみてください。

介護士 サチ
サチ
介護士/正社員

介護職員として施設で勤務しています。サチはペンネームです。仕事がらケアマネージャー、看護師、理学療法士、管理栄養士などさまざまなその道のスペシャリストと接する機会が多いです。 そのような機会で得た知識や学び、また現場での経験を活かして、知って得する情報やよくあるお悩みに関してコラムを書いています。私の書くコラムが誰かのお悩み解決のヒントになれば幸いです。