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介護のプロがお答え 介護のお悩み解決コラム

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第2回 在宅介護の限界

皆さんが日頃抱いている介護に関する悩みを、現役介護士の私サチがズバリ解決するブログの第2回! 今回のテーマは「在宅介護の限界」です。

最近では街のあちこちに建物があり、介護施設はもう物珍しいものではなくなりましたが、「住み慣れた自宅から離れたくない」などの理由で、入居を嫌がる方はいまだに少なくないようです。
そうなると自宅での介護ということになりますが、とくに介護する側となるご家族様の負担は相当大きなものがあるようです。私が目にして来た事例を挙げながら、在宅介護の現状をお伝えします。

自宅介護の限界

入居を嫌がった人ほど「入ってよかった」

「もっと早くから入居しておけばよかった」
ご本人様やご家族様から、よくこうした言葉をかけてもらいます。
私たち介護の現場に携わる者にとって、最高にうれしいひと言。
だって私たちが提供するサービスを気に入ってくれているという証拠ですものね。
こうやって喜んでいただくために、仕事をしていると言っても言い過ぎではありません。

私の経験からすると、「ワシは絶対に施設の世話なんかにならん」とか言って入居を頑なに拒否していた人ほど、コロッと態度が変わって「入居してよかった」と言ってくれるような気がします。
だからこそ私たちの喜びも余計に大きいのかもしれませんね。
でもよくよく考えると、こうしたやり取りがあるということは、世間の介護施設に対する認識と実際の介護との間には、まだまだ隔たりがあるということなのかなあ、とも思ってしまいます。

在宅介護には相当の覚悟が必要

介護保険制度が始まった頃と比べて、介護施設の数は相当増えましたが、いまだに施設に入ることに抵抗のある方が多いように感じます。
そういった方は、在宅での介護を希望されますが、特にお世話をする側のご家族様にとっては、実は施設に入る以上に相当な覚悟が必要になると思います。
私は仕事柄、ご家族様とお話をする機会が多くありますが、在宅での介護は私が想像している以上に大変な様子。

例えば次のような話を、よく耳にします。
「ずっと親の面倒を見なければならず、自分の時間がまったく取れない」
「長い時間家を空けるわけにいかないので、遊びにも行けない。旅行などはもってのほか」
「私より体の大きな父の入浴などの世話をするのは、体力的にきつく、体のあちこちが痛い」
などなど…。
ちょっと身につまされてしまいますね。

正直、在宅介護をしていて「毎日が楽しくて仕方ありません。とてもハッピーです」などと言う方は、ほぼいないと思います。
先ほど紹介したコメントに代表されるように、介護をする側の人間にとっては、自分の時間を取られ、のんびりとする暇もなく、おまけに体力的にもきつい、というのが在宅介護の現状です。

相当な覚悟が必要と言ったことがおわかりいただけるのではないでしょうか。
恐ろしいのは、負の感情がたまりにたまった時。
矛先が親に向けられるようになり、虐待やそれよりもっとひどい状況に陥ってしまう可能性があることです。
「あなたのせいでこんなに苦しい思いをしているのに、何でわかってくれないの」などと感情が爆発し、親に対して思わず手をあげてしまいそうになったという方を、私は何人も知っています。

普段は温厚で、とても人様に手をあげるような方でなくても、一度理性をなくしてしまうと、何をしでかすかわかりません。
いたずらにあおるつもりはありませんが、対岸の火事だとまったく気にかけないわけにもいかない問題だということです。

ゴールが見えないことが不安を招く

ではなぜ、負の感情が増えていってしまうのでしょう?
私は、介護する側の人間が、なんでもかんでも自分が面倒を見なければいけないと思っているからだと考えています。
「いろんなものを犠牲にして世話をしているのに、なぜ自分の言うことを聞いてくれないのか」と思ってしまうため、自分の思い通りにならないと、余計に徒労感を覚えるようになるのです。

さらにそこに輪をかけるのが、終わりの見えない恐怖感。
例えば、マラソンで数百メートル先にゴールテープが見えた時、あなたはどう思いますか?
おそらく「あともう少しだ」と思うのではないでしょうか。長時間走り続け、心身ともにクタクタでも、ゴールが見えたことによって「あそこにたどり着ければ休める」と最後の力を振り絞ろうと頑張るはずです。
それと同じように、介護もあらかじめ終わる時期がわかっていれば、親の多少のわがままも我慢できるのでは。

いつ終わるともわからないことが「この状況はいつまで続くのか」という不安をさらに大きくしているのです。

頑張りすぎず手を抜いて

在宅介護がうまく行くためのポイントは、私は介護する側の方が頑張りすぎないことだと思います。
言い方は悪いですが、ちょっと手を抜くぐらいでいいのです。
とくに真面目な方ほど、手抜きがおすすめ。
任せられる世話は、他の方にどんどん押し付けてしまいましょう。
特に入浴など体力を使う大仕事は、デイサービスや訪問介護などを上手に活用するべきです。
それでもうまく行かなければ、私たちのような施設を頼ればOK!

「なんとかしよう」ではなく「なんとかなるさ」の精神で心に余裕を持つことが、何より大切だと思います。