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介護のプロがお答え 介護のお悩み解決コラム

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第29回 知っておきたいお金の話④

私は介護スタッフとしてフロンティアの介護のとある施設で働いています。ご入居者様と暮らしを共にし、とても近い存在でありますが、その分、様々なトラブルや困りごとにも遭遇することがあります。小さなことから大きなことまで、本当にいろいろと見聞きしますが、その中にはもちろんお金にまつわる話も含まれます。いったいどんなトラブルが起きたのでしょうか。私が経験したことの中から話せる範囲でお伝えしていきたいと思います。

第29回 知っておきたいお金の話④-1

親のお金の在り処がわからない…

まず思い出すのが、80歳の女性(入居当時)だったAさんのお話。夫に先立たれ、長女は独立し他県で家庭を築いていたため、独り暮らしを余儀なくされていましたが、認知症の兆候が見られるようになったため、身を案じた長女の勧めで、私の働く介護付有料老人ホームへ入居されました。
実際の金額を把握していなかったものの、Aさんがかなりの貯えを持っていると思っていた長女は、入居一時金や月々の支払いをAさんの費用で賄おうと考えていたようです。
しかし、Aさんがどこの銀行に口座を開設しているのかがわかりません。どこかにはあるはずのお金を引き出したくても引き出すことができない状況に陥ってしまったのです。ようやく通帳の在り処を見つけましたが、親子であっても代理権がないため、引き出すことができなかったのだとか。困った長女は結局、泣く泣く自分の貯金を取り崩し、Aさんの介護費用を捻出することに…。
お給料のほとんどを介護費用に回すことになったことで、精神的に追い込まれてしまったのでしょう。以前なら月に1度は面会に訪れていた長女の足がだんだんと遠のいていくようになりました。また、たまに訪れた時は、Aさんに対し次第に高圧的な態度を取るようになっていったのです。最終的には、お金を払い続けられないという理由で退去されることになりました。
「金の切れ目が縁の切れ目」とはよく言ったもの。あれだけ仲の良かった親子の絆がいとも簡単に壊れていく姿を見て、身につまされる思いをしたことを覚えています。

お金の管理は慎重に行いましょう

先ほどは親子で仲違いしてしまったケースでしたが、続いては兄妹仲がおかしくなった事例をご紹介しましょう。

会社を経営していた75歳の男性Bさん(入居当時)は個人資産を持ち、はっきり言って裕福な方。子どもは兄と妹の2人兄妹でした。介護費用はもちろんご本人持ち。お金の管理は妹に任せていました。まさか、このことが後々、トラブルになるなんて、夢にも思っていませんでした。
介護にかかる費用は、施設の利用料や食事代など介護施設に払うだけで済むことはありません。前回のブログでも紹介した通り、衣服代や書籍の購入代などは別途自己負担が必要となります。Bさんは、妹を施設に呼び出しては、いろいろな買い物をお願いしていましたが、これに兄が噛み付いたのです。
兄は何に対して怒っていたのでしょうか? 実は「妹が介護費用を使い込んでいるのではないか」と疑っていたのです。そもそもBさんの介護費用を妹が管理していることが気に入らなかった兄は、妹が新しい服を着ていたりすると「父親の財布から盗んだ金で服を買うなんてどうかしている」などと面と向かって、ののしりました。
私も何回かその場面に遭遇しましたが、本当に気分の悪いものでした。結局、兄妹の関係は修復することなくBさんは亡くなってしまっています。

お金の使い道は話し合っておくことが大切

上記に挙げた2つのケースは決して対岸の火事ではありません。どなたにでも起こりうることなのです。親子関係も兄弟の関係も、仲が良ければ良いほどいったんこじれてしまうと、元通りの関係に戻すことは容易ではありません。
そんな事態に陥ってしまわないためにも、日頃から親の資産状況の把握に努めておくことが肝心。
「自分のことだ」と心当たりのある方は、親の資産状況の把握に努めるほか、万一の場合に備え、介護施設を利用することになった時にその費用は誰が負担をしていくのか、しっかり話し合っておくことが必要となりそうです。
これまで長い時間をかけて築いてきた関係が、ちょっとしたトラブルで壊れてしまうなんて、悲し過ぎます。そんな家族が二度と出ることのないよう願わずにはいられません。